穀物庫 Corn Barn
 明治10(1877)年建築、明治44(1911)年に現在地に移設、昭和49(1974)年に修復工事。
 40ft×30ft高さ1メートルで49本の束石の上に乗った高床式、2階建切り妻造りのバルーンフレーム構造で、玉蜀黍(コーン)と収穫穀物などの貯蔵庫として建造された。束石には鼠返しを設け、入り口は取外し可能な木製階段が付いているから、貯蔵庫に鼠1匹も入れない配慮がされている。1階の壁3面に設けられたスノコ状枠の中にコーンを収納して、自然通風をしながら貯蔵できるように配慮されている。1階中央には次年度の種子を貯蔵する小部屋を設け、2階から袋入りの種子が落とし込めるようになっている。





脱ぷ室・収穫室 
Threshing,Hulling&Cleaning Room

 明治44(1911)年に現在地に1880年代建築された作業室を移設して脱ぷ室と収穫室に仕上げた。大正2(1913)年に札幌軟石造りのスチームエンジンの動力室(上写真)を増築、昭和47年に修復工事を行った。
 1棟を2つに分けた収穫室と脱ぷ室は収穫室のみ2階建にして穀物庫と連結している。脱ぷ室は、麦等の穀物類の脱穀、選別作業などを行う機械作業場で、脱ぷ室の「ぷ」は、禾と孚をあわせた常用漢字外の文字で穀物の外皮や籾殻を言うから、脱ぷ室は籾摺り部屋である。収穫室は、秤量や袋詰、種子選別等を行う部屋で、精選にしたがって1階から2階へと移動させた。




秤量所 Cart-scaling Place
 明治44(1910)年に建物とトラックスケール(大型台秤)を新築。
 平屋建。馬車の積荷が満載時と帰路の空車時の全重量を測って搬送量を計測したため、乾草を満載した荷馬車が通過できるように両側の扉を開くと側壁と屋根のみの門のように広がるようになっている。

 最初のトラックスケール(大型台秤)は、明治11(1878)年にアメリカから購入してモデルバーン入口に設置し使わっていたが、現在地に移転する際に家畜房2階への通路が廃止されたため、圃場への通路際の現在地に秤量室を新築し、新しいトラックスケールに更新した。現在も給油・整備さえすれば計量が可能である。





釜場 Food-processing Plant
 明治44(1910)年に新築、ただし1880年代に建築されたものと同型である。昭和47年に修復工事。
 札幌軟石造りの平屋建、大きな竃(かまど)と釜を備えて豚などの餌を煮こみ、隣の囲いのある床に広げて潰し混和した家畜飼料の加工場である。防火上から石造りである。
このモチーフが札幌駅前通りの歩道にタイルで描かれている。





精(製)乳所 Milk Processing Plant
 明治45(1911)年に新築、移転前は木造。昭和47年に修復工事を行った。
煉瓦造りの建物内部は大きく3つの部屋に分かれ、東側道路際の部屋は、窓(写真の白い2つの窓)から氷を入れるようにした冷蔵庫、中央の2部屋は市乳とバターやチーズの加工室であった。加工室は機器と人を洗浄後に出入りして雑菌が混入するのを防ぐようになっている。




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