福住人車跡

 旧夕張駅(現:石炭の歴史村)の西斜面福住地区は、かつて大規模な炭鉱住宅があった。現在は炭鉱住宅も取り壊され、その中にあった小中学校跡は「花とシネマのドリームランド」になっている。山の急斜面に設置されていたのが、福住人車と呼ばれたケーブルカーであった。
 昭和20年に運行開始し、総延長750m、高低差135mの間に始点終点合わせて4つの停留所(乗降場)があり、運賃は無料で北炭職員とその家族、日用品などの運搬のため最盛期は1日80〜90往復もした。
 斜面上部の夕張新炭鉱開坑のため炭鉱住宅の閉鎖に伴い、昭和49年に廃止された。





a.山に一直線に伸びる人車跡。山頂付近まで人車跡が伸びており、斜面は段々畑のように炭鉱住宅跡が残っている。真ん中の辺りが「花とシネマのドリームランド」。
b.国道の橋(aの下の道)より人車跡を見上げる。斜度は結構あることがわかる。基礎部分が枯れ草に隠れている。
c.市道を跨ぐコンクリートアーチ。人車跡に木々が生えてきている。


北炭鹿の谷倶楽部(夕張鹿鳴館)

 北炭夕張の幹部の社員住宅が並ぶ高級住宅地と呼ばれていた鹿の谷の一角に、北炭鹿の谷倶楽部(夕張鹿鳴館)がある。大正2年、北海道炭礦汽船(北炭)の役員と来賓の接待や社交等を目的で、岩見沢の重役宅を移築増築のして倶楽部として建築された。部屋数は本館と別館2棟を併せて、30室以上もあった。
 栄華の時代を今に伝える文化と技術の枠を集めた本格的和風建築文化財で、昭和29年には昭和天皇が宿泊された。

 1982年に北炭夕張新鉱が閉山したのち、84年北炭より市に譲渡され現在一般公開をしている(建物内すべでが見られるわけではない)。


    

建物内は和室と洋室が組み合わされ、大食堂(右写真)には大理石の暖炉をがある。和室には透かし彫り欄間、絵画や焼き物など豪華で贅沢な造りとなっている。



滝之上発電所

 滝之上(滝の上)発電所は、大正14年、北炭が社内電力を自家発電で供給するという、当時では画期的な計画のもとに建設されたもので、夕張川千鳥ヶ滝上流500mの位置に取水堰堤を築いて導水し、滝の落差を利用してタービンをまわすシステムである。
 北炭から平成6年4月に北海道に譲渡され、現在でも、出力2340Wの電力を供給する水力発電所として稼動しており、赤レンガの発電所は、当時の代表的な洋風建造物て、全盛期にあった北炭の姿を象徴している。
 現在、滝の上公園(竜仙峡)として発電所周辺は散策路として整備されている。





1.瀟洒な赤レンガの建物。側面には隣接していた建物の屋根の跡が残る。
2.偶然に開いていた発電所の入り口。事務所らしきドア(右)と発電施設?(左)が見える。
3.千鳥ヶ滝。断層に沿って水が流れるちょっと変わった滝。上流に堰堤が僅かに見える。堰堤が出来る過去にはこの滝はさらに水量も多く壮大であったであろう。
4.発電所下にある導水出口?コンクリートは朽ちて大きな穴が開いている。過酷な工事だったのであろう。





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