日本最北端に位置する稚内市には、ロープウェイがある。必然的にこのロープウェイは日本一北にある訳だけど、もうひとつ日本一な点がある。それは日本一短いという点で。この稚内公園ロープウェイは、観光ガイドにも載ることも殆ど無く、北海道に長く住んでいる人々でも、その存在を殆ど知らない。

その稚内公園ロープウェイは、稚内市のホームページを見ると平成18年度に廃止を検討ということで、もう乗れなくなる可能性が非常に高いのである。

北門神社の鳥居を潜ると青看板に↑稚内公園ロープウェー、稚内公園→と表記されている。ウェーと伸ばしている表記になっているが、駅に行くと、ウェイという表記。

まあ細かいことは置いといて、神社の階段を登ると黄色と緑の明るい色の山麓駅がある。駅の外には、ロープウェイの竣工プレートがあり、
線路長130m、高低差71m、輸送能力900人/時、竣工1975年と記載されている。見たまんまのイメージ通りの数値だけど、数字というのは説得力があり、本当に距離と高さが短いのがわかる。



山麓と山頂の駅が近い



山麓駅から山頂駅を見る、近っ!



カラフルな山麓駅



1975年完成



夏のみの営業となる



切符売場



定員15名だけど…


営業案内は運転期間4月1日〜28日、11月1日〜30日、12月31日〜1月1日が運休期間で、6月から9月までと年末12月20日から3月31日(大晦日と元旦は運休)は無休で、それ以外の運転期間は月曜が定休日となる。

運賃は激安、往復たったの大人240円。片道でも180円、子供は半額。今のご時世、いくら日本一短いとはいえ、運転するだけで赤字を増幅させてしまうような料金体制。ハッキリ言って乗る人なんて殆どいない訳で、乗るのはモノ好きくらいなものだから、往復500円程度でもいいような気もする。まあ500円にしたとしても赤字なことには変わらないでしょうけども…。

山麓駅の職員はキップ売場に1人、乗り場に1人。階段を上り、ロープウェイに乗る。乗ったのはタロ号。もう一方はジロ号
昭和33年南極越冬隊が天候悪化で泣く泣く15頭の観測犬を南極に置いてきて、翌年の越冬隊が南極に行くと奇跡的に2頭の犬が生きていたというエピソードがある。南極物語という映画で大ヒットしたのでタロジロの名前を知っている人は多いでしょう。その2頭の犬は、稚内周辺で飼われていた樺太犬が、南極越冬隊に同行するための日本最北の地稚内で訓練を受け南極に行ったわけで、言ってみればタロとジロは稚内のヒーローなわけである。その2頭の名前がゴンドラに命名されている。

ゴンドラは小さく、大人15人乗りで、子供だけで換算すると22.5人乗れる計算だけど、まあ詰め込めば乗れるとしても狭くてそんなに乗れない感じ。時刻表には10分毎に運行となっているが、実際は、人が来た時だけ運行しているようで、時間に関係なく、私が乗ったら即出発という具合だった。
乗車時間は1分半だけどもっと短い感じ。なのですぐ反対側のジロ号とすれ違った。すれ違ったらもう山頂駅。

山頂駅からは、稚内港の北防波堤ドーム、利尻礼文航路のフェリーを見ることが出来た。霞がかっていなければ、樺太も望むことが出来そうだ。



タロ号に乗車



ジロ号とスグすれ違う



すれ違ってまもなくだか駅が近い



山頂駅から山麓駅を見る



15人乗ると窮屈な客車



山頂駅からの眺め

山頂駅は、山麓駅と違って地味な造りで、職員が1人で対応してくれた。

とまあ、山麓から山頂までの乗車記だけど、駐車場の関係で実際は山頂から山麓を往復乗車となった。山麓にも神社に駐車場があるけど、あくまでも神社用で、車で来てロープウェイに乗るなら山頂から往復でしょう。鉄道で稚内駅まで来た場合は、山麓駅まで徒歩かな?。

2005年6月4日土曜昼下がりに乗車。


* 2006年3月31日に廃止 された



山麓駅と比べると地味な山頂駅




稚内市開基百年記念塔 北方記念館

 
日本最北端稚内駅の西側の丘陵を望むと、緑の丘の上にポツンと立つ紅白カラーのタワーがどことなく異様な光景を醸し出している。
今回紹介するのはその、そのタワー、稚内市開基百年記念塔北方記念館である。

残念ながら、駅からのアプローチはタクシーに頼らざるを得ないし、開館は4月29日から10月いっぱいという季節開館という具合の施設。
地上部分が北方記念館、そして塔上部にが展望台になっている。

入場時貰ったパンフには、塔の建設時期は記載されていないが、1978年(昭和53年)7月、開基百年を記念して立てられた。

開基百年記念塔は、高さ80m(海抜250m)である。



ロープウェイ駅近くから撮影
  



港と宗谷岬方向を望む
   



利尻富士、灌木の宗谷丘陵
   

展望台まで上がるべく、エレベーターに乗ると、エレベーター内にはテレビがあり、移動の沈黙の長い閉所にいる時間の間をもてあまさないよう観光ガイドが流れる。

展望台からは360度のパノラマが楽しめ、稚内市内〜宗谷海峡、サハリン、利尻富士などを眺望することが出来る。

この日は遠く?サハリンを望むことはできなかった。

 
展望台から降り、北方記念館へ。
2階構造になっており、1階は北の動物のはく製、北の探検家と宗谷を拓いた人々のコーナー、福沢農場、埋蔵文化財の展示がしてある。



何の展示かは失念
  



廃止された天北線の資料
  



間宮林蔵像
  

 
2階は、樺太資料コーナーがあり、稚泊連絡船の宗谷丸の鐘、真岡郵便電信局事件の9人の乙女に関する資料吉田初三郎の樺太鳥瞰図の模したもの、新岡コレクション、樺太の鉄道ループ、日本の財閥の製紙工場の写真等、そして日ロ友好コーナーとして写真展示などがある。

2005年6月4日訪問



宗谷丸の鐘と
何故か安っぽい宗谷海峡の絵



樺太の展示コーナー
ジオラマと横の写真のギャップが…  



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